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執筆者の写真岩田紫苑

フローリスト 下妻由季乃さん インタビュー後編

こんにちは、JOUROライターの岩田紫苑です。先週に引き続き、今週もフローリスト下妻由季乃さんのインタビューをお届けします。前編はこちらから。


会社員の時、習い事で始めた生け花(小原流)がきっかけで、お花に惚れこみ10年。現在は4歳のお子様を育てながら、オーダー制の花屋「jeune feuille」にて、ブーケやアレンジメントを販売されています。

後編では、コロナ禍、どのようにオーダー制の花屋を立ちあげたのか。また、SNSを活用した集客方法や、子育てとのバランスについても紐解きます。


▼由季乃さんが作成したブーケ




お花屋さんに務めず、ご自身1人でフローリストとして独立した働き方をされているのは、どうしてでしょうか。

息子の幼稚園入園後、時間ができるのでお花屋さんで働こうと思っていましたが、コロナ禍に突入してしまいました。1度目の緊急事態宣言により、息子が幼稚園に入園できたのも6月…

このコロナ禍、コンスタントに幼稚園に通えるか分からない…さらに、通えたとしても、またいつ休園してしまうかも分からない…先が見通せないなか、悶々としているくらいなら、自分でやってしまおう!という気持ちだけが先走りました。そして、ある日突然「わたしは今日から花屋です!」と宣言し、始めたんです!


ある日突然!かっこいいです!

ちなみに、ブーケやアレンジメントは、独学で学ばれたのですか。

はい、2度ほど単発のレッスン(対面1度、オンライン1度)に参加しましたが…

ほぼ独学と言って良いかと思います。


改めて、凄い…。

新しいことを始めるにあたり、躊躇いや不安に感じることはありませんでしたか?

感じませんでしたね。まずは、自分ができる範囲でやれば良い、と割り切っていました。

お店や会社に勤めていると、そのペースについていかなくては…とプレッシャーや責任感が伴うと思いますが、自分のペースで取り組めるので、調整もききやすい。例えば、家族がコロナになってしまった!とか、幼稚園の休園が続いて、自宅保育になってしまった!とか…

万が一の事態になっても、今お受けしているオーダーだけをしっかりこなせば良いから、と思っていました。

まだ承っていない分に関しては、本当に大変だったら辞めればよい、と決めていましたし。


▼ご結婚祝いで作成したプリザーブドフラワーのリース





なるほど。まずは動きながら、実績を作っていくというスタンスですね。

余談ですが…私が個人的に気になるので、質問させていただきます。

子育てとフローリストの両立はとても大変だと思うのですが、いかがですか。

両立はできていません。笑

まだ駆け出しで、オーダー数も多くないですし、多く取ろうともしていないので。

ほとんど育児メインの生活ですね。


しかし、生け花との出会いは私にとって、とても大きかったです。お花を一生の仕事にしていきたい、とまで思えるほど好きになったので。だから、今は長く続けられるようなやり方でやっていくのが一番大事だと考えています。数が少なくても、どんなに細々とでも、その時々でできるだけの量に抑えていくように、気をつけています。

子供がいるから仕事がうまくできない。仕事があるから子育てが頑張れない、とならないように。


体力も気力も人並みくらいしかないことをしっかり自覚しているので、できる範囲でとにかく続けていくことを目標にしています。プロ意識に欠ける、甘いといわれれば、反論はできませんが。

将来、こどもが私を必要としなくなった時に、自分のやりたいことが存分に出来るように、そのための準備期間と捉えています。少しずつでも、実績を作っていく道を選んだという感じですね。


とっても参考になります。

あえて両立をしない、というお考え。個人的に心がふわっと軽くなりました~!


では、ここからは実際の活動内容について、お聞きしたいです!

「jeune feuille」は、オーダー専門かつオンライン限定のショップとして、運営しています。

商品は、ブーケ、フラワーアレンジメントがメインですが、春のミモザや、クリスマスのリース、ご要望があればスワッグ、そしてプリザーブドフラワーのリースやアレンジメントを扱っています。

いずれも、お客さまから問い合わせをいただき、ヒアリングした上で仕入れと納品を行っています。


用途としては、7割方が、お友達やご両親、奥様といった親しい方へのギフトです。残り3割は、ご自身へのご褒美、誕生日プレゼント、結婚記念日に、というご注文です。リースやスワッグは、ご自宅用が多いですね。


▼書籍のご出版のお祝い花





どのようなお客様が多いでしょうか。やはりお友達や、お知り合いの方でしょうか。

いえ、実はTwitterのフォロワーさんが多いです!お会いしたことのない方ばかりですが、写真やツイートを見てお問合せを頂く方が多いです。

Twitterは、特にフォロワーさんがイイネしてくれると、それが拡散されますよね。

この効果もあり、DMを頂くことが多いですね。


SNSを上手く活用しながら集客されているんですね!

お任せのオーダーが多いそうですが、この点について、由季乃さんはどうお考えですか。

お任せが多いのは、目の前に具体的にお花が並んでいるわけではないから、だと思っています。

店舗のお花屋さんだと、様々なお花があって、そのなかから、好きなお花を選ぶ方が多いと思います。

でも、これって実は、皆さん結構悩まれているのでは…?と考えていて。好きなお花を選んでいったからといって、それがすべて作品としてマッチするとは限らない。なんか変だな~と思っていても、スタッフさんに相談しづらかったり。逆に、スタッフさんも、お客様の要望をなるべく聞いてあげたいから、「このお花は合いませんね…」なんて言えないはずです。結果、微妙な仕上がりになっちゃった…という経験が少なからずあると思っています。


しかし、私の場合はそうなりづらい。というのも、目の前にお花がないから、具体的なオーダーがきません。

完全にお任せの方は、お客様のなかでも15%ほどいらっしゃいます。

お客様にとっても、そのほうがオーダしやすいと思います。


確かに。お客様の要望とプロの見立て。この2つは、バランスをとるのが難しいですよね。

由季乃さんが作品作りで、気を付けていることや、意識していることはありますか。

オーダーをいただいてから、どんな風にしようかと予めイメージはするのですが…

仕入れの際、それに囚われすぎないこと。市場は毎回微妙に品揃えも違うので、その時にあるものの中から最適なものを選んでいくようにしています。ありがたいことに完全にお任せであったり、「柔らかい雰囲気で」という、ざっくりしたオーダーも多いため、その範囲内で今わたしが綺麗だと思うお花を集めるようにしています。


▼御開店のお祝い花





では最後に、今後の展望をお聞きしたいです!

まずは10年続けること。毎月1件でも、しっかり実績を作っていきたいですね。

1回挫折すると、そこから立ち上がるのは難しいと思うので、挫折をしないように、ペースを調整しながら、オーダーをお受けしていきます。


そして、新たに花好き人口を増やしていくこと!

私自身、お花が凄く好きだったわけではないけれど、ここまでハマって大好きになりました。

お花を買ったことがない人。贈ったことがない人。

そんな方々に向けて、「jeune feuille」がお花に触れるきっかけになれば嬉しいです。


お忙しいなか、ありがとうございました!


コロナ禍にもかかわらず、やりたいことを着実にカタチにしていく姿に、感銘を受けました。

また、子育てとお仕事のペース配分も見極められていて、個人的にも参考になるヒントがたくさん。

花業界に勤めていて、独立を検討されている方は、ぜひ由季乃さんのように「実績作り」という準備期間をもうけてみるのも良さそうですね。

由季乃さん、今後のご活躍、楽しみにしております!


▶フローリスト 下妻由季乃さん



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