こんにちは、JOUROライターの岩田紫苑です。
先週に引き続き、JAるもい 花き担当 菅原力也さんのインタビューをお届けします。
前編はこちらから。
生産者とお花屋さんの間にたち、「るもいのお花」を販売している菅原さん。
日々大切にしていること、工夫されていることをはじめ、今後の展望についても伺いました。
前編でご紹介頂いた「るもいのお花」を拝見すると、農家さんが作りたい花/作れる花というより、お花屋さんのニーズや流行の色を汲み取って、生産しているイメージです。
菅原さんが、農家さんとのやりとりで、工夫していることはありますか?
花農家さん自らが、販売まで担う方はごく少数です。でも、販売というステップを踏まないと、今生産しているものをより良い品質にしていこう、という考えにしか至らない。
もちろん、高品質なものを作るという志は素晴らしいと思います。しかし、お花が大きく、丈夫なものだけが、お花屋さんにとって価値あるお花とは限らない。
実際、お花屋さんにヒアリングすると、こんな意見を聞くこともあります。
例えば…品質がある程度良いものであれば、バリエーションが豊かなほうが良いとか。
アレンジメントとして、使いやすい仕立てのほうが良い、とか。
あまり表にはでてこない、潜在的な意見をお花屋さんから汲み取る。そして、それを嚙み砕いて生産者に伝え、現在出荷しているお花の見直しもする。
これがとても重要で、私の仕事です。
安定した品質、使い勝手のよい仕立て、どの時期でも手に入りやすいもの。
どのお花も、この3箇条が整うように、試行錯誤しています。
▼るもいの代表的なお花たち
お花屋さんの潜在的な意見を、農家さんに伝えた時の反応はいかがでしたか?
もちろん、否定される時も多々あります。るもいには20件の農家さんがいらっしゃるが、全員が全員、すぐに快諾して新しいことをやってくれるわけではない。
しかし、出来る農家さんを見つけて、まずは小さく1~2年始める。
開発したウニアスターも認知までに、3年かかりました。4年目でやっと売り込んでいく段階に入りました。他の農家さんが栽培しているのを見て、私も栽培をしてみようかなと、名乗りでてくれることもあります。
▼菅原さんたちが開発したウニアスター
なるほど、柔軟なお考えの花農家さんが多いのですね。
「るもいのお花」の人気の理由が分かりました。
菅原さんが、お花を販売する上で大切にしていることはありますか?
「るもいのお花」の強みは、産地です。
栽培において、気候が一番の味方をしてくれます。夏場でも涼しく、海風も入る。
そのため、発色がよく、丈夫でボリュームのあるお花が育ちやすいのです。
私が大切にしていることは、この強みを生かし続けること。他の産地が追い付けないスピードで、変化を繰り返して、ここでしか作れないお花を作っていきたいですね。
今後、どんなお花が開発されるのか、とても期待しております!
最後に、「るもいのお花」の展望をお聞かせください。
今年から、産地直送を始めました。市場での流通だと、都市部にしか回らず、地方では手に入らないお花屋さんがあります。「るもいのお花」は知っているけれど、買うことができないという状況は、非常にもったいない。
なので、機会損失を埋めるべく、新しい流通のかたちとして、産地直送をスタートしました。
さらに、小さなお花屋さんにも寄り添っていきたいと思います。
通常の集荷場では、それぞれの農家さんが箱詰めしたものが届きます。
それを市場ごとに分荷していく作業があります。
しかし、私たちの集荷場での作業は、特殊です。
個々の農家さんが、お花を少量ずつ透明フィルムで簡易包装し、バケツで水揚げしている状態で届きます。それらを、農家さん自身が、市場や小売店ごとに箱詰めしていくのです。
▼集荷場での様子
少量で簡易包装されているから、様々な品種のお花をミックスで組むことが可能になる。
1種類のお花が沢山届いても、小さなお花屋さんでさばくことができず、販売ロスになってしまいます。このような事態を避けられるのが、ミックスで組むこと。小さなお花屋さん向けに、様々な色のお花がミックスで組めるという強みもあるので、ここも伸ばしていきたいですね。
▼人気のモノリシアンのアソート
お忙しいなか、お時間いただき、ありがとうございました!!
マーケター的思考をお持ちで、お花屋さんからのヒアリングを大切にしている菅原さん。
新しい品種の栽培においても、柔軟に対応できる花農家さんが多いのも
「るもいのお花」の強みだと思いました。
今後も、るもいからどんなお花が開発されるか楽しみです。
▶︎JAるもい
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